先生に、あげる。



その震えで僕は、この一年間咲織が僕を好きでいてくれたことを実感し、それとともに自分も咲織を好いていたことに気づいた。




そして、ただただ後悔した。


もっと早く、この小さくて柔らかくて冷たい君を、抱きしめれば良かった…と。




「ごめんな。遅くなったな。ごめん。ごめん。」



僕はただただ謝った。


そして彼女は、嬉しい、と繰り返しながら、泣いた。
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