お隣さんはイケボなあなた
佐伯に言われた通りに入れてみたけれど、やっぱり味は劣る。
けれども、千紗は満足できた。
こういうゆったりした気分を味わえる紅茶と、ラジオを聴いている時間。
それだけで、自分の部屋がリラックスできる空間になるのは、不思議だった。
矢嶋は、そんな時間の使い方を、もっとたくさん知っている気がする。
そういう人生って、ちょっと羨ましいな、なんて思う。
≪ラジオネーム、ムーンさんから頂いた「最近あったいいこと」は、美味しい紅茶に出会えたこと、だそうです。
ティーポットからティーカップまで色々揃えて、紅茶を飲んでいるそうです。いいですね、紅茶。
僕も紅茶にハマっているんですけど、紅茶ってほんと何百種類もって奥が深いんですよね。≫
千紗は思わず、目を丸くしてしまう。
「また、メッセージ読まれた……」
たくさん送られている、と思われる中から、自分のメッセージを読まれることは、やっぱり、素直に嬉しい。