お隣さんはイケボなあなた
♢
「最近どうなんですかぁ」
会社の昼休み、もう笹野はいない。
千紗は、祥子と社食でお弁当を広げていた。
「どう……って?」
「ほら、例の好きな人、ですよぉ」
祥子は、淡いピンクの唇をぷくっと膨らませてそういった。
「あの人、ね。この間、デートした……かな」
デートと言ってしまっていいのか、分からないけれど。
思わずそう、口から出てしまう。
「デートですかぁ? やったじゃないですかぁ」
祥子は、自分のことのように喜んでくれた。