お隣さんはイケボなあなた



「最近どうなんですかぁ」


会社の昼休み、もう笹野はいない。

千紗は、祥子と社食でお弁当を広げていた。


「どう……って?」

「ほら、例の好きな人、ですよぉ」


祥子は、淡いピンクの唇をぷくっと膨らませてそういった。


「あの人、ね。この間、デートした……かな」


デートと言ってしまっていいのか、分からないけれど。

思わずそう、口から出てしまう。


「デートですかぁ? やったじゃないですかぁ」


祥子は、自分のことのように喜んでくれた。

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