お隣さんはイケボなあなた
お昼休み、いつものように笹野とお弁当を食べたあと、デスクに戻ると、前に座っていた内海祥子から声をかけられる。
「藤永さぁん、今日、飲み会があるんですけど、行きませんかぁ?」
彼女は、いつもくるんとまつ毛がカールして、茶色くパーマのかかった髪をアップにしている。
そして薄いピンクのカーディガンがよく似合う、可愛らしい女の子だった。
「ごめんね、今日は早く帰らないといけないんだ。また今度誘ってね」
今年24になったばかりの、祥子は「合コン、飲み会、婚活」のために、仕事をしているんじゃないの、と誤解されそうな面もあった。
いや、誤解じゃないかもしれないけれど。
だからといって、仕事は適当にはやらないし、残業も文句を言いながらもきちんとやる。
「人は見かけによらないよね。媚び売って仕事しない奴より全然好感持てる」
いつだか、笹野も、祥子のことをそう褒めていた。