お隣さんはイケボなあなた
「あの、どういうことですか?!」
思わず声が大きくなる。
さすがに、上司も慌てた様子で、棚の影に千紗を連れて行く。
「いやぁ。じきじきのご指名なんだよ」
「意味が分からないんですが……」
「斎藤課長が、どうしても君を営業課に引きぬきたいって……」
予想はしていたけれど、はっきり名前を出されると唖然としてしまう。
「なんで斎藤課長が……」
「それは俺のが聞きたいよ。こんな時期に、人一人動かせる力があるんだから、逆らわないほうがいいと思うけど」