お隣さんはイケボなあなた


帰り際、ビルの1階のロビーで、千紗は待っていた。

もちろん、斎藤課長を。

何をどう考えても、自分の移動はおかしい。

この間から納得がいかないことが多すぎて、直談判しようと思ったのだ。

30分は待っただろうか。

数人の部下らしき男性を連れて、斎藤課長がエレベーターから降りてきた。

何か楽しそうに話していたが、今さら後には引けない。

千紗は、思い切って、彼女の前に進みでた。


「あのっ、すみません。お話がっ……」


ロビーの天井が高かったせいか、千紗の声は必要以上に辺りに響いた。
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