お隣さんはイケボなあなた
それでも必死で食いついていけたのは、変なプライドだろうか。
それとも周りの目が怖かったからだろうか。
どちらにしてもここニ週間は、大学受験並みに、必死になって情報を頭に詰め込んだのだった。
「藤永、今日の資料、用意して!」
同じく新しい部署に配属された、加藤がデスクの横でごそごそしながら叫んでいる。
「あ、もうコピーしてあります」
「さすが元総務、そういうのは早いな」
あまりいい言葉には聞こえないが、彼なりに褒めているらしい。