お隣さんはイケボなあなた

「藤永さ〜ん」


会議室から出ると、すぐに、後ろから聞き慣れた声がする。

振り返ると、祥子がひらひらと手を振っていた。


「祥子ちゃん!」


思わず声が明るくなったのは、見知った相手に会えた安堵からだろうか。


「あれぇ〜? 藤永さん、痩せましたぁ?」

「え、痩せた、かな?」

「というより、コケてますねぇ、頬が」


彼女は相変わらず遠慮無くそう言った。


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