お隣さんはイケボなあなた

考えすぎて気持ち悪い。

早く家に帰って休みたい。

そう思って早く歩こうとしても、足がなかなか進まない。

ボーッとしすぎていたせいか、思わず、足元の段差につまづいて、転びそうになった。


「危ないっ」


ふいに、後ろから腕を掴まれる。

おかげで、顔から転ぶのは避けられて、少しよろめいただけですんだ。


「あ、すみません……」


極力声を振り絞ったつもりだったが、ほとんど聞こえないような、か細い声が微かに出ただけだった。


「あれ? 千紗ちゃん?」

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