お隣さんはイケボなあなた

名前を呼ばれ、顔を上げると、そこにはスーツ姿の矢嶋が立っていた。


「こんな時間にどうしたの」


矢嶋の低い優しい声と、穏やかな口調を聞いて。

千紗は思わず唇をかみしめた。

我慢すればするほど、こらえていたものが溢れてきてしまうようで。

頬を涙がツーッと流れていた。


「泣いてるの?」


矢嶋は少しだけ戸惑った様子で、千紗の肩にそっと触れた。
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