お隣さんはイケボなあなた
「飲むと少しは落ち着くかも」
彼はそう言って、ベランダの方へ行き、少しだけ窓を開けた。
思ったよりも、冷たい風がひゅぅっと部屋に入ってくる。
雨が続いていたせいか、今日は外は寒かったらしい。
どうりで、今になって足の先まで冷たくなっていることに気づいた。
千紗は、言われたとおり、出された紅茶を、静かにすすった。
「美味し……」
相変わらず彼の入れる紅茶は、いい匂いと甘さだった。
それから、千紗が紅茶を飲み終わるまで、彼は何も聞かずただ、ベッドの下に座っていた。