お隣さんはイケボなあなた
「だって、そんな……」
さっきまでの自分は、もう気力みたいなのが全部抜けてて。
警戒心とか、そういう問題じゃなくて。
矢嶋はベッドから立ち上がると、千紗の方へ、2歩近づいた。
思わず、ティーカップを持っていた手が、ビクッとしてしまう。
彼は、真面目な顔ををして、千紗の前に立った。
ガタッ――。
その、いつもとは違った雰囲気に、椅子に座っていられなくなった千紗は、立ち上がると後ろに下がる。
背中が壁についたのでが分かった。
「や、矢嶋さ……ん?」