お隣さんはイケボなあなた

「だって、そんな……」


さっきまでの自分は、もう気力みたいなのが全部抜けてて。

警戒心とか、そういう問題じゃなくて。

矢嶋はベッドから立ち上がると、千紗の方へ、2歩近づいた。

思わず、ティーカップを持っていた手が、ビクッとしてしまう。

彼は、真面目な顔ををして、千紗の前に立った。

ガタッ――。

その、いつもとは違った雰囲気に、椅子に座っていられなくなった千紗は、立ち上がると後ろに下がる。

背中が壁についたのでが分かった。


「や、矢嶋さ……ん?」





< 197 / 290 >

この作品をシェア

pagetop