お隣さんはイケボなあなた

声を振り絞って出したけど、かすれてしまった。

なんでいきなり、こんな顔して……。

ドキドキした心臓が今にも止まりそうだった。

彼の真っ直ぐな視線から、目が離せなくて。

その近すぎる距離に、どうしようもなくなったとき。


「……ぷっ」


彼は、怯えた千紗の顔を見て、吹き出した。


「ごめんごめん、冗談」

「冗談……って。人をからかって!!」


千紗は、内心動揺を隠しながら、むっと膨れたふりをした。
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