お隣さんはイケボなあなた



「おはよう」


朝、駅からの道、後ろから声をかけられた。

斎藤課長だった。


「おはようございます」


頭の片隅に、昨日のことがちらりとよぎる。

でも、千紗は、肩で息をして整える。

もう切り替えていこうって、決めたんだ。

そう思うと、まっすぐ彼女を見ることができた。

これも矢嶋が、励ましてくれたおかげだろう。


「昨日は悪かったわ」


斎藤課長は、コツコツとヒールを鳴らしながら、千紗の隣に並んでそう言った。
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