お隣さんはイケボなあなた


「メールしなきゃ良かったかな……」


断られてこんなに落ち込むなら、何にもない方が良かったかな。

千紗はそう思ってしまう。

近くて遠い、お隣さん。

やっぱり、彼は、そんな存在でしかないのかな。

静かにスマホカバーを閉じると、千紗は、洗面所の鏡を見つめた。

まだまだ仕事は残っていて、落ち込んでなんていられないのは分かっているけれど。

こんな冴えない顔をしていたら、きっと斎藤課長に嫌味の一つでも言われそうだ。
 
千紗は、無理やり笑顔を作ろうと、頬を上げる。


「ファイト、ファイト」




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