お隣さんはイケボなあなた


朝からバタバタしていて、化粧もそこそこ、髪の毛も軽くまとめただけの状態で、会議室の準備をしている時だった。

後ろから急に声をかけられた。


「千紗?」


その懐かしいビターな低い声。

滑舌のいい響き。

忘れもしない。

千紗は慌てて振り返る。


「久志……」


まさか。

なんで彼が?

一瞬自体を飲み込むのに数秒かかる。
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