お隣さんはイケボなあなた
矢嶋が好きという気持ちがあるのに。
今さら久志と会ったって、何にも問題はないはずなのに。
やっぱり、最後のメールがあんな冷たい内容だったからなのかな。
予想以上に引きずっている自分に、千紗はがっかりしてしまう。
遠くから久志の笑い声が聞こえてきた。
久々に見た彼の姿。
相変わらず男らしくてハキハキた話し方。
懐かしすぎて胸が痛い。
消化できない失恋の思い出なんて、こじ開けるもんじゃないのに。
千紗は、大きなため息を、誰にも気づかれないように、一つついた。