お隣さんはイケボなあなた
♢
「斎藤課長ー、聞いてくださいよ」
「いや、こいつなんかより、俺の話聞いて下さい」
飲み会は小さな居酒屋を貸し切ってやることになった。
どうやらそこの店長と、営業課の誰かが仲良くしているらしい。
斎藤課長は、ついこの間まで大阪にいたというだけあって、今日来たメンツとかなり親しげだった。
それにすごく信頼されて尊敬されている。
そんな印象を受けた。
会社で広まった、社長の愛人とかなんとか。
そんな噂、あっという間にかき消すはずだ。
千紗は、少しだけ彼女のことを羨ましく思う。