お隣さんはイケボなあなた


ちょうど斜め前に座った久志と、何度か目が合うけれど。

特に会話もなく時間が過ぎていた。

内心ホッとしてしまう。

いざ、彼を目の前にしたら、何かを聞かれたり、言われたりしても、うまくごまかせる自信がなかった。

ふと、久志の隣に座っていた大柄な男が、斎藤課長に大声で話し始める。


「斎藤課長居なくなってから、うちの課、華がなくて、もうみんな枯れっ枯れっすよ。キャバ嬢くらいしか俺たちに優しくしてくれないっすよー」


千紗はその男を見て、口調も、声も、話している内容も、下品だと感じてしまう。

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