お隣さんはイケボなあなた
こんなの、我慢しないと、この間みたいになる。
酔っぱらいくらい、華麗にあしらえるようにならないと……。
そう分かっていたけれど。
千紗が何度も呼ばれて、渋々立ち上がろうとしたとき。
「お前、もう飲み過ぎ、な! 一緒にトイレ行くぞ!!」
いきなり、久志がそう言って、隣の男の肩をがっしり掴んで立ち上がった。
そして久志は、千紗の方をちらりと見ると苦笑いをして、店の奥へ歩いて行った。
もしかして、助けてくれた?
ふと久志の態度を見て、知り合った頃のことを思い出した。