お隣さんはイケボなあなた
「そ、そうなんだ……」
思わず、がっくりと肩から力が抜けてしまう。
「たまに、階段のところで話してませんでしたかぁ?
祥子、聞いちゃったことあってぇ」
「あー。確かに何度か、あったかも……」
ようやく納得した千紗に、祥子はニコッと笑う。
「まあそうじゃなくても、藤永さん、分かりやすいですよぉ?
自分から営業課に書類届けに行ってたし、明細とかもチェックしてたでしょう。
あっちに誰か好きな人でもいるのかなぁ、とは思ってましたぁ。
まさか、相川久志だとは予想しなかったですけど」
まさか。
そう言われて、少しだけ、チクっとしてしまう。