お隣さんはイケボなあなた

「んー、覚えてませんかぁ?
よく、お昼になると給湯室で騒いでた、お団子頭の小さい子……」


そこまで説明されて、ようやく顔が浮かんできた。

確かに、給湯室で他の派遣の子たちと、キャッキャ楽しそうにしていたグループがいる。


「え、でも……確か、あの子って、1年くらい付き合った彼氏がいるんじゃなかったっけ……」


そう、彼女たちは、必ず自分の彼氏トークをそこで繰り広げていたから、みんなには筒抜けだった。


「だからそれが、相川久志ですってばぁ」


祥子は、ミルクティーのペットボトルを丁寧にストローで飲みながらそう言った。

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