お隣さんはイケボなあなた
彼女は珍しく、困ったような、歯切れの悪い返事をした。
「残念ですけど……本人がバラしていて、噂になってましたからぁ……」
手足が震えて、冷や汗まで出てきている気がする。
千紗は、ゆっくりゆっくり、息を吐いてからまばたきを何度かした。
どうにか落ち着こうと努力しても、動悸が止まらない。
祥子の言っていることが、本当だとしたら。
浮気どころか、丸かぶりじゃないか。
陽子も1年。
千紗も1年。
同じ社内で、同時進行で二股をしていたというのか。