お隣さんはイケボなあなた
「悪酔いでもしたの?」
言い当てられて、千紗は、何も言えなくなる。
祥子から聞いた、久志のことで、腹が立ってどうしようもなくて。
かと言って誰かにぶつけることもできず。
一人でお酒を飲んで、この有り様だ。
「呆れてますか?」
「呆れてはないけどさ……」
「この間から、あたし、こんなとこばっかりですもんね」
まだ酔いが残っているのだろうか。
矢嶋に八つ当たりしてもしょうがないのは分かっていたけれど。
口から出てくるのは可愛くないことばかりだった。