お隣さんはイケボなあなた
16 スッキリ?
♢
コーヒーを少し、口に運ぶ。
さっきから落ち着こうと、カップを手にしたり、手を握りしめたり。
それでもどうしても、気持ちは落ち着かなかった。
誰にも気づかれないように、小さく息を吐いた。
千紗は、スマホのボタンを押す。
時計は待ち合わせの時間を過ぎていた。
隣りにいた矢嶋は、珍しくずっと黙っていた。
時々、千紗と目が合うと微笑んではくれたけれど。
なぜ二人して喫茶店にいるのか。
それは一本の電話のせいだった。