お隣さんはイケボなあなた

いくら終わった恋だからといっても、いざ言葉に出してみると、なんだか自分がさらに惨めになっていくようで。

しかも、さっき気持ちを伝え合った相手に、なんでこんな話をしてるんだろう。

色んなことで頭がいっぱいになりそうだった。

矢嶋は、黙ったままコーヒーを千紗に差し出した。

彼のこういう、大人っぽい冷静なところに、ホッとしてしまう。

元カレなんだろ、なんで悩んでんだよ。

そんな風に責められないのは、やっぱり嬉しかった。

それでも黙っていられるのも、不安になる。

呆れているわけではなさそうだったけれど。

何を考えているのだろう。

千紗はおそるおそる顔を上げた。