お隣さんはイケボなあなた
「じゃぁ、会いに行けばいい」
矢嶋の、サクッと言い放つ言葉の真意が掴めなかった。
「でも、会っても、いまさら話すことなんて……」
「あるでしょ?」
首を傾げながら、矢嶋は続ける。
「本当かどうか確かめたらいい」
「でも……いまさらじゃないですか……」
「いまさら、だからこそだよ。それとも、モヤモヤしたまま、僕と付き合っていくつもり?」
彼は少しおどけたように、そう言った。
「彼にちゃんと聞いてみたらいい、彼の口から」
矢嶋はコーヒーを飲みながら、千紗をじっと見つめる。