お隣さんはイケボなあなた
「分かりました! もうこれが終わったらたくさんデートしましょ!」
半分やけくそになって、千紗はそう言った。
本当は、二人を会わせたくなんてないし。
それにこういう場に、付いてきてもらうこと自体、ちょっとアレだと思う。
意気地なしというか、空気読めないというか。
いかにも、弱い女を演じているみたいで少し嫌だった。
でも、その反面、久志を目の前にして、はっきりと何かを言える気もしなかった。
付き合っている時からそうだったが。
久志の強くて真っ直ぐな視線を前にすると、なんだか気後れしてしまうのだ。