お隣さんはイケボなあなた

どのくらいたっただろう。

時間よりも遅れて、久志はお店に入ってきた。

キョロキョロあたりを見回して、千紗を見つけたのだろう。

片手を上げて近づいてきた。

と、隣に座っていた矢嶋に気づいて、あからさまに眉をしかめる。


「誰、そいつ」


会社以外で、久しぶりに聞いた久志の言葉は、それだった。

よっぽど、千紗が男を連れて来ていることが気に入らなかったのだろう。

それにしても、そんな話し方をする人だったんだ、と、今さらながら愕然としてしまう。


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