お隣さんはイケボなあなた
「な、何言ってんだ、こいつ」
矢嶋の言葉に、久志はもう隠し切れないほど声がうわずって、動揺していた。
千紗は、それを見て小さくため息をついた。
「やっぱり本当だったんだ……浮気、してたんだね……」
久志が、肝心なところで嘘をつけないのは、変わっていなかった。
こんなに分かりやすく反応するのに、なんで気づかなかったんだろう。
千紗は、そう思うと、やっぱり情けない気持ちでいっぱいになる。
「やっぱりって、なんだよ。何言ってんだよ。なんか勘違いしてねえ?」
ここまで来ると、彼がどう弁解しても無駄だった。