お隣さんはイケボなあなた
――ピンポーン、ピンポーン――
朝ご飯を食べて、洗濯を干し終わった頃。
玄関のチャイムが鳴った。
滅多なことがなければ鳴らないチャイムに、千紗は少しびっくりする。
あれ、宅配でも来たのかな?
そう思って、インターホンの画面を見ると、そこに映っていたのはマスクをつけた怪しい男性だった。
えっ、誰これ。
しかもよく見ると、その人がいるのは、マンション一階のオートロックの前、ではなく玄関前なのだ。
これは出ないほうがいいかな。
千紗がそう身構えた時。
――すみません、隣に越してきた者ですけど――
そういう声が画面から聞こえた。
「あっ、お隣さんか。はーい。ちょっと待ってくださいね!」
千紗は、慌てて玄関へ向かう。