お隣さんはイケボなあなた
「矢嶋さん、もう行きましょ」
千紗はそう言うと、立ち上がって、隣りにいた矢嶋の腕を引っ張った。
こんな男と、一秒たりとも同じ空気を吸っていたくない。
そう、目で訴えた。
そして、久志に向かって、一言言い放った。
「もう連絡してこないで」
千紗はそう言うと、矢嶋の腕を掴んだまま、出口へと向かった。
久志が何かを言いかけて、口を開きかけていたけれど、もうそんなのはどうでも良くて。
とにかく、その場から早く立ち去りたかったのだった。