お隣さんはイケボなあなた
「実はゲイでした、とか、他に女がいるとか……?」
そう言ってから、ハッとしたように「ごめんなさぁぃ」と、祥子は謝った。
千紗は、「もう気にしなくていいよ」と笑いながら、お茶を一口飲んだ。
「でも、他に女がいたら、わざわざお隣になんて手出さないですよねぇ」
祥子はフォローするように付け加える。
「祥子ちゃんは、今の彼の、前の彼女のコトとか、気になる……?」
千紗は、ふと彼女にそう聞いてみた。
思えば、久志の時、前の彼女の話なんて一度も聞いたことがなかったからだ。
だって、聞くのが怖いのもあったけれど。
その時は、久志と付き合えているだけで嬉しかったから。