お隣さんはイケボなあなた

「実はゲイでした、とか、他に女がいるとか……?」


そう言ってから、ハッとしたように「ごめんなさぁぃ」と、祥子は謝った。

千紗は、「もう気にしなくていいよ」と笑いながら、お茶を一口飲んだ。


「でも、他に女がいたら、わざわざお隣になんて手出さないですよねぇ」


祥子はフォローするように付け加える。


「祥子ちゃんは、今の彼の、前の彼女のコトとか、気になる……?」


千紗は、ふと彼女にそう聞いてみた。

思えば、久志の時、前の彼女の話なんて一度も聞いたことがなかったからだ。

だって、聞くのが怖いのもあったけれど。

その時は、久志と付き合えているだけで嬉しかったから。



< 285 / 290 >

この作品をシェア

pagetop