お隣さんはイケボなあなた
ガチャっとドアを開けると、そこにいたのは、千紗より少し年上の男性だった。
マスクはつけているものの、髪型も今流行り風に切ってあり、服装はいたって普通。
ジーンズに白いシャツ。
そんな服を着ているせいか、それとも背が高いせいか。
細身の、爽やか系の男性だった。
「こんにちは。隣に越してきた矢嶋です」
彼は千紗と目が合うと、ぺこりと頭を下げて持っていた紙袋を渡す。
「僕、仕事が遅いもんで、迷惑かけることもあるかもしれませんが。よろしくお願いします」
「あっ、藤永です。よろしくおねがいします」
思ったよりも礼儀正しく挨拶をされて、さっき見た目チェックしていたことを内心謝る。
見た目で判断するなっていうけれど、見た目よりもかなりしっかりしていそうな印象だった。
じゃあ、と彼は隣の部屋に帰って行った。