お隣さんはイケボなあなた
  

「もしかして、君もこの曲、借りに来てた?」


ふと、彼が千紗の顔を覗き込んで聞いた。


「あ、いえ、なんか嬉しくて」


思わずそう答えてしまう。

その千紗の言葉に、彼は首を傾げる。


「キャロルのこと、好きな人が、まだいてくれるんだって思って。なんか嬉しくて。あたしがこんなこというのも変ですよね。すみません、分けわからないこといって」

 
そう。

 
彼はキャロルのファンってわけじゃないかもしれないし。

 
ただ懐かしくてCDを借りたくなっただけかもしれないし。

 
でも、なんだかちょっぴり嬉しかったのだ。
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