お隣さんはイケボなあなた



チャイムが鳴って、千紗が玄関から顔をのぞかせると。

今まで寝てたでしょ、と言いたくなるような、ぽやーっとした矢嶋が立っていた。


「おはようございます……」


声が、眠たくて眠たくて仕方ありません、と言ったようなホワホワした口調だった。

あっ。

思わず、そう口から漏れそうになる。

珍しく矢嶋はマスクをしていなかった。
 
初めて見る彼の顔に、少しだけ、ドキッとしてしまう。
 
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