お隣さんはイケボなあなた

いまいち状況が読めないまま、部屋へ通される。

矢嶋の部屋は、同じ間取りとは思えないくらいシンプルで、シック。

それに、黒の家具をベースにした部屋に、ブルーのカーテンだけ揺れていて、なんだかムード満点だった。


「ごめん、狭い部屋で……って、藤永さんも同じ広さか」


矢嶋はそう言って照れたように笑った。

えっと、なんであたしは、のこのこ部屋に上がってるんだろう。

いやでも1LDKだと、窓際にあるベッドが目に入る。

それを見たとき、思わず焦ってしまった。

自意識過剰だって分かっている。

ただ、彼は渡したいものがあるだけ。

自分で言い聞かせながら、ふと矢嶋の方を見ると……。
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