お隣さんはイケボなあなた

「色々な思い出が、積み重なってなんだかしんみりしちゃうのかも」


しんみり。

その言葉に、千紗は、胸がツキンッと鳴った。

この曲に、彼はどんな思い出があるのだろう。

やっぱり恋の思い出かな……。

そう思うとなんだか、複雑な自分がいる。


「藤永さんは? この曲、好きみたいだけど、どんな思い出があるの?」


矢嶋は2杯目のコーヒーを入れながら、千紗に聞いた。


「あたしは、良くありがちなんですけど。

元カレとの思い出です。

楽しかった思い出も、切ない思い出も一緒になってるから、なんだか聞くと寂しくなっちゃう曲かな」


千紗の言葉に、矢嶋は少し驚いたような反応をしたが、すぐに穏やかな目をして、こう言った。
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