お隣さんはイケボなあなた
千紗は、コーヒーをすすりながら、ふっとカウンターの上に目をやった。
えっ?
思わずソレから目が離せなくなる。
そこにあったのは、ブルーの石が付いている唐草模様の太めのリング。
さっきご飯を食べているときは、気づかなかったけれど。
あれって。
番組のサイトに、少し前にアップされた写真の、カナタの指にはめられていたのと同じデザインのものだ。
ここまで偶然ってあるんだろうか。
指しているものは、すべて、ラジオのパーソナリティの『カナタ』本人と繋がってしまうのだ。
この人は、一体、誰なの。
あなたの名前は、何ていうの?
その日、千紗は、到底聞けそうにない言葉を、ぐっと飲み込んだ。