お隣さんはイケボなあなた

ちょっと業者の人に申し訳ないことをしたな、と千紗は思った。

でも、だれも玄関の向こうに人がいないか確認してから、ドアを開けないだろう。


「あれ?」


ふと気になって姿を追いかける。

引っ越してきたのは、どうやらお隣らしい。

ついこの間まで、派手な女の人が住んでいたが、いつの間に居なくなったのか。

女がよく、夜中にベランダで大きな声で電話していることもあって、窓を開けていると近所迷惑な時もあった。


「今度の人は、うるさくない人だといいな……」


千紗は、エレベータへと急いで向かった。
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