お隣さんはイケボなあなた
さすが、恋愛マスター。
祥子の恋に関する偏差値の高さは分かっていたけれど。
あんなにしっくりくるアドバイスをもらえると思っていなかった。
――ブブ、ブブ――
ベッドの上に置いた、スマホがバイブした。
慌てて表示を見ると、そこには彼の名前が。
「矢嶋さんだ……」
おそるおそるショートメールを開く。
『楽しみにしてます。明日の何時頃かな?』
嬉しい言葉の後に、かわいい顔文字までついていた。
「やったー!!!!」
千紗は、隣の部屋にまで聞こえるくらい大声で叫んでしまってから、ハッとなる。
「い、いないかな?」
きっとまだ仕事から帰ってきてはないだろうけど、この雄叫びが、矢嶋さんに聞こえてたら恥ずかしい。
千紗は、もう一度、小さくガッツポーズをした。