お隣さんはイケボなあなた
まだ熱いよ、と差し出された紅茶を、千紗は少しだけすすってみる。
「コクがありますね。それに、花の甘い匂いもする。すごく美味しいです」
こんなに美味しい紅茶、初めてかも。
思わず感動してため息をついてしまう。
「うわぁ、藤永さんが作ったケーキ、すっごいフワフワでうまっ」
千紗が紅茶の味にうっとりしている間に、取り分けていたシフォンケーキが、もう矢嶋の口の中に入っていた。
「あ、お口に合いましたか?」
千紗は慌てて、彼の方を見る。
「毎週でも作って欲しいくらい」
さすがに太るか、なんて矢嶋は大きな一口で頬張る。