お隣さんはイケボなあなた

千紗は、もう一度紅茶を口に含む。


「……これ、なんて言う紅茶なんですか?」


こんな紅茶があれば、ただの平凡な休日も、一気にイギリスのティータイムみたいにおしゃれになるのに。

個人には売ってはいないと言っていたけれど……。

穏やかな気持ちになれる、いい香りの紅茶。
 
一度飲んだら忘れられるわけがない。

千紗の問いに、矢嶋はけろりとした様子で答えた。


「うーん。実は僕も知らない」

「えっ?」

「知り合いのオリジナルブレンドなんだ」


そう言って、彼は得意げに笑う。
 
なるほど、だから個人には売っていないのかな。
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