流れ星に4回目の願いを呟く時。
 最近、こんなことばかりだ。


 事あるごとに、私の頭を痛くさせる問題が最も簡単に積み上がる。そしてこの苦しみは、そう簡単には消えてくれない。


「最近、いやこの半年くらいかな。なんかずっと沈んでるわね。」


 入園式の準備がひと段落して、職員室の窓からぼうっと外の遊具たちを眺めていると、会場の準備を終えた由美子がやって来た。


「いや、少し疲れて。」


 疲れていたのは確かだ。スキーでの筋肉痛がやっととれて来たかと思えば、弾丸帰省に卒園式。そして入園式の準備。憂鬱だったクリスマスを乗り越えただけでも心も身体もいっぱいいっぱいだったのだ。疲れていても全く意外なことでは無い。


「何言ってるのよ。若いもんが。」


 そんなジジ臭い台詞を吐く由美子は私とは打って変わって、今日も元気いっぱいという感じだ。


「良いですよね。頭の中が空っぽでできている人は。」


 私の辛辣な一言に、一瞬由美子は固まっていたが、私は直ぐに倍以上の反撃を受けることになった。


 数え切れないほどの赤い花紙が急に頭の上から落ちて来て、止んだかと思えば次は白い花紙が降ってきた。


「どうだ。」


「冗談です、冗談です。もう言いません。」


 怒濤の反撃ではあったが、由美子なりの方法で元気を貰えた気がした、ということにしておくことにした。




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