流れ星に4回目の願いを呟く時。
「もう帰ってくるなよ、良い女見つけろよ、なんて強がり言っちゃってさ。万遍の笑みで。でも、同じなんだよね。」


 由美子は所々言葉を詰まらせながら、でもしっかりとした口調で話し続けた。


「祐樹が海を諦めようとしてたあの顔と、私が祐樹を諦めようとしていた顔が凄く似てたの。ああもう駄目かなって思っちゃったの。だって、あの時、私、諦めないでって言えなかった。」


 空を見上げる由美子に合わせて、私も空を見上げた。そこには、白く光る桜の遥か向こうに輝く星の海が見えた。


 顔を下した由美子の顔は笑っていた。


「あんたが今でも、カケルって男に恋をしてるのは間違いないよ。きっと。」


 私はその由美子の顔をじっと見つめた。



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