流れ星に4回目の願いを呟く時。
 そんな腐った桃色の脳細胞は今すぐ捨ててしまえ。


 浪人時代、予備校の先生がよく言っていた言葉だ。恋愛なんかに感けていては合格できない。恋愛なんてものはいつでも出来るんだ。他の奴等が遊んでいる今この時にこそ、差を付けてやるのさ。


 予備校に通う生徒というのは、去年叶わなかった夢を叶えようと、藁にも縋りたい気持ちで予備校に通っている。


 そんな時にそう言った言葉を聞かせるのは予備校側の戦略でもあるのだろうが、生徒は火が点いた様に勉強に集中する。お互いに利益があるのだろう。


 しかし中には湿り気が多いらしく、なかなか火の点かない生徒もいて、人の恋愛に文句を言うな、とその怒りの炎を糧に勉強に励む者もいた。


 私はと言えば、どちらの部類に入ることも無かった。何故なら既に火を灯した状態で通っていたからだ。




 
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