流れ星に4回目の願いを呟く時。
 新しい市の名前の選定には難航していた。


 海水浴で有名な町が揃っていた為、海にちなんだ名前を付けるはずだったが、その海が観光情報誌などでフォーカスされすぎるせいで、近年ではごみ問題が急増していた。


 そこで、海だけじゃない、澄んだ川も綺麗だよ、住みよい市にしようと、川澄市という名前が住民の公募で決定した。


 なんと名前を決めたのは私の中学時代の同級生で、彼女は部活でポジションを競い合った仲だった。彼女の妹とも知り合いで、彼女の家に行ったときはよく3人で一緒に当時流行っていたゲームに白熱したものだ。


「え、じゃあ庁舎は友枝にないの?じゃあ、隣の夕霧?」


「いや、まえの楠町よ。」


「楠町って、じゃああの国道の方の海沿いの大きな公園があるところ。」


「そうそう」


 母に感謝する。


 もしあの時に起きているのが父の方だったら、今頃はあのままお茶を飲んで、昼寝でもして、怠惰な日々を過ごしていたことだろう。


 アクセルを踏み込みながら母に感謝した。


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