流れ星に4回目の願いを呟く時。
やっと終わった。

家から県庁へ、そして県庁から大学へ、そしてまた家へ。よくもまあ、かつての自分はこの往復を毎日やっていたことか。褒めてやりたいくらだった。


 その日は帰ると、晩御飯も食べずに眠ってしまっていた。




 夢を見た。


 それは真貴子が私の靴を捨てた時の夢。


 でも、夢の中で私が感じたのは彼女への怒りでもなければ、憎しみでも無い。


 靴を持って走る、中学生の真貴子の哀しい顔が浮かんでいて、それを大人になった私は、ただ黙って見ているのだ。

 
 「待って、真貴子!」


 手を伸ばして真貴子を止めようとしたのだが、どうしてか声が出なかった。


 ただただ、私は、真貴子の後ろ姿を眺めていた。


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