流れ星に4回目の願いを呟く時。
「そっか、別れちゃったのか。ごめんね。」


「良いよ。もうずっと前のことだから。それより、本城くんの……」


 コーヒーは少しずつ減って、真貴子は左手の時計を気にし出していた。そして今こそ、勇気を試そうとした時だった。


「ごめん、ホタル。私今からちょっと用があって。ごめんね。ここは私が払っておくから。」


 終わってしまう。


 何も意味がない、時間の流れ。私の10年以上のカケルへの思い。こんなことで終わってしまうの。


 あの夢と同じだ。あの時と同じ。何も出来ないの。


 その時、あの流れ星を思い出した。あの鈍色の空に流れた、一筋の奇跡を。


「待って!」


 思わず大声を出していた。 


 立ち上がろうとする真貴子は驚いた表情、いや何か、何か隠していた大事なもの。誰にも見つからないように念入りに隠していたいたものを、誰かに勝手に掘り起こされてしまったような、そんな表情を見せた。


「待って、真貴子。お願い。もう少しだけ、私の話を聞いて欲しい。」


 そう言うと真貴子は何かを悟ったように、なにも言わず、ゆっくりとその腰を降ろした。



 


 
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