流れ星に4回目の願いを呟く時。
「ゆうかの兄です。」


 ひどく疲れた目をしたお兄さんだった。園児の兄妹だから、そこまで歳が離れていているはずは無いが、服装や顔からして明らかに高校生ではない。大学生といったところか。


「申し訳ありません。担任の山崎です。」


 眠りかぶった顔を急いで戻して、挨拶する。外が凍るように寒かったおかげで、緩んでいた頰は直ぐ元に戻った。


 しかし、お兄さんにしては、歳が離れ過ぎている。ゆうかちゃんの接し方からして、別に嘘はついていないようだが。


「良かったね、ゆうかさん。今日はかっこいいお兄さんと帰れるね。」


 カマをかけるつもりはない。ただの確認事項。いつもやっていること。


 高校生では無いことは確かだ。こんな田舎町の平日の正午に、高そうなジャケットに、これまた高そうな革靴と時計。そんな格好をして保育園に来る高校生などいるはずが無い。


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